売却時の固定資産税・都市計画税の精算

01 納税義務者は1月1日現在の所有者

不動産を売却される方は、これまで毎年、固定資産税や都市計画税を支払われてきたことと思いますので「毎年支払わなくてはならない税金」があるという認識をお持ちだと思います。税法上、これらの税金の支払いに関しては、厳密にルールが決められています。その1つに「納税義務者」という概念があります。「納税義務者」とは、簡単にいうと、実際に税を負担する方のことを指します。固定資産税や都市計画税の納税義務者は、対象資産を1月1日現在に所有しているものをいいます。
それでは、年の半ばで不動産を売却などで手放した場合、納税義務者は誰になるのでしょうか?その場合でも、やはり、1月1日に所有者であった方が納税義務者となります。しかし、よく考えてみると、1年の途中で所有者が変わっているにもかかわらず、1年間の税金全てを前所有者が負担するのは、どこか不公平な気がします。こういった不公平感を是正するため、民間の取引でよく使われる手法が「固定資産税・都市計画税の精算」といわれる方法になります。

02 起算日の違いで額が変わる?

それでは、実際に起算日によって、支払い金額が変わる具体例をみていきましょう。
たとえば、仮にそのマンションの固定資産税が年間10万円、都市計画税が7万円だったとします。売主であるAさんは、2018年4月30日に、買主であるBさんに売り渡しました。起算日を2018年1月1日とすると、売主の所有期間は1月1日から4月30日までの120日ということなり、10万円+7万円=17万円のうち、120/365を負担すればよいこととなります。したがって、17万円×120/365=約55,890円となり、買主は、残りの114,110円を負担することとなります。これで、公平です。という訳にはいきません。

起算日を変えて、2018年4月1日にして計算した場合は、どうなるでしょうか?
売主の所有期間は、2018年4月1日から2018年4月30日までの30日となり、30/365が負担分となります。よって、17万円×30/365=約13,973円が売主の負担となり、買主は、残りの156,027円を負担することになってしまいます。
起算日の違いで額が変わってしまいますね? 一体どちらの起算日が正しいのでしょうか?

03 起算日は契約書に明記する

上で説明した起算日は、どちらかが間違っている訳ではありません。そもそも、この精算方法は、民間の取引における便宜上、生み出されたもので、法律として一律の規定が定まったものではないのです。
税法上の1月1日現在の所有者に準拠すれば、1月1日起算になりますが、行政の「年度」という概念に準拠すれば、4月1日起算となります。実際、固定資産税等の支払い通知が送付されるのは4月1日以降であり、どちらが正しいか明確に決めることはできないのです。

あくまで、双方の合意で基準日は決定されますが、話し合いが平行線である場合は、地域の慣習に従うのが一般的であるといえるでしょう。 
この固定資産税・都市計画税の精算における取り扱いは、通常、契約書上で明記されるものです。一連の説明内容・背景をしっかりと理解してから、契約に臨みたいものです。
また、当事者同士で精算に関する取り扱いを決めたとしても、税法上の納税義務は1月1日時点での所有者にあります。

買主が税金を納めなければ、未納に対する督促は売主にされてしまいます。ですので、売り渡し時に、売主が代表して一括納付をされることをお勧めいたします。

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