不利になる情報ほど隠してはいけない理由

01 隠れた瑕疵の担保責任の追及、隠した瑕疵の担保責任の追及

不動産売買の取引において、売主に付される瑕疵担保責任でいう「瑕疵」は「隠れた瑕疵」のことを指します。
この「隠れた瑕疵」の取り扱いは、契約当事者が合意の上、その契約時に定めますが、売主が瑕疵として知っていた事実を隠した場合は「隠れた瑕疵」にはあたりません。もし「瑕疵担保責任を負わない」又は「期間を定めて瑕疵担保責任を負う」と特約で取り決めても、それが発覚した場合には責任追及をされる可能性があります。
買主が裁判を起こし、その主張内容が認められてしまうと、売主は全面的に保証をしなくてはいけなくなります。これが「瑕疵」を隠してはいけない最大の理由です。

02 隠すつもりはなくても…

この瑕疵担保責任の問題は、実際の取引においてトラブルになりやすく、色々な事件が幾度となく裁判で争われてきました。上で説明した理由から、瑕疵は隠してはいけないということはお分かりいただけたと思います。ですが、隠すつもりがなかった場合はどうなるのでしょうか?
一度引渡しがされると、買主から指摘されはじめて売主が気付いた事実であったとしても、それを「意図的に隠した」と裁判官が判断すれば責任を負わなければならず、いくら隠すつもりはなかったと主張しても、その時にはもう手遅れなのです。

特別に隠すつもりはなくとも、売主の立場としては、一体どこまでの範囲で事実を告げればよいのかが、悩ましいポイントになります。この一般的な人がその事実を知り得たのであれば、取引をしなかったと推測される嫌悪を催す事実、という基準は、個別の具体的な事象ごとに判断されるわけであり、あらかじめ基準や内容が定まってはいないのです。
したがって、物件の売却の際には、たとえ「こんなことはたいした事実ではないから、わざわざ告げる必要はないだろう…」と思っても、自分の基準で考えず、自分のサポーターである不動産会社に相談しましょう。不動産会社は、様々な取引を経験しているので「告げておいた方がよい事」を経験として学んでいるケースが多いのです。

03 告知書を使う

以上のことから、あらかじめ買主に告げるべきことは、しっかりと告げなければなりません。また、法律上の争いになった際に「言った、言わない」という事態を避けるために、しっかりとした記録をとっておく必要があります。この際、有効なのが「告知書」です。
決まった様式はありませんが、売主から買主に対して告知する内容を、取りまとめた書面のことをいいます。その告知を受けた証として、買主に署名・捺印をしてもらいます。

万が一の事態が起きた際には、「私はあなたに重要な事実を告げました。それを承知で、あなたはこの物件を買い受けたのです」という主張をすることができるようになります。

売却に不利な情報を、確実に相手に伝えておくことの重要性をご理解いただけたでしょうか?トラブルの回避にぜひお役立て下さい。

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